飲食店のフランチャイズのスタッフトレーニングはオーナーがするもの?
飲食ビジネスでは、出される料理や飲み物の味の良し悪しはもちろんですが、スタッフの接客の質も集客に大きく影響します。そのため、スタッフに対するトレーニングはことのほか重要です。今回は、フランチャイズ店における従業員教育の基本的なパターンを紹介し、オーナーが果たすべき役割などについても述べていきます。
スタッフの教育はオーナーの責任
まず基本的に押さえておきたい点は、フランチャイズチェーンにおけるスタッフの人事権は、運営本部ではなく個々の加盟店のオーナーにあるということです。オーナーは直接の雇い主として雇用契約を取り交わすばかりではなく勤怠管理や給与の支払い、飲食店では特に重要な勤務シフトの作成など、人事・労務管理にかかるすべての責任者となります。
したがって、調理や接客マナーなど、スタッフのスキルに関する質の維持や向上などについても責任を負います。ということはつまり、スタッフトレーニングもまた、オーナーが責任を持って行わなければならないということです。
ただし、フランチャイズ方式による飲食店ではオーナー自身も人事管理の経験がなかったり、飲食ビジネスそのものが未経験だったりすることがそれほど珍しくありません。そのため、トレーニングに関しても本部のサポートを受けられることが一般的です。
オーナー自身に対する教育を通じて本部がサポート
運営本部によるスタッフトレーニングのサポート方法はチェーンごとに異なりますが、おおむね間接型と直接型の2種類に分けることができます。
まず間接型とは、トレーニングの方法をオーナーに伝授し、それをお店に持ち帰って従業員教育に生かすというものです。ほぼすべてのフランチャイズチェーンでは、開業前にオーナー研修あるいは店長研修と呼ばれる、オーナー自身に対する教育プログラムが組まれています。
そこではビジネスの仕組みや関係法令に関する講義、調理実習などのカリキュラムに加えて、スタッフトレーニングのやり方についても講義が行われますので、その機会を利用して、オーナーはこれから雇い入れるスタッフに何を、どういった形で教えればよいのかを学ぶことが可能です。
間接的なサポートは、資料によって行われることもあります。開業に当たって本部は加盟店に様々なマニュアルを配布しますが、その中にはスタッフトレーニングに関するものも含まれ、接客マナーなどについては、教則用の映像資料が配られることもあります。
本部で直接トレーニングが行われることもある
スタッフトレーニングに関する本部の直接的なサポートの代表例としては、本部が直接実施するスタッフ研修があります。これは、各加盟店に勤務するスタッフを研修センターなどに集めて、調理技術の講習や接客サービスのシミュレーションなどを行うというものです。
飲食ビジネスのフランチャイズはこの本部研修を実施しているところがかなり多いという特徴を持っています。というのも、同じ店名を掲げてチェーン展開をする以上、どこの店でも同じ料理が食べられて、同じレベルのサービスを受けられるということがチェーンのブランド価値を保つために重要だからです。
ただ、すべてのスタッフがこの研修の対象になるとは限りません。実施形態はチェーンごとに千差万別で、代表者1~2名が受講した後でお店に帰って他のスタッフに伝達研修を行うよう求められるパターンや、チーフなど一定の役職以上の者が対象になるパターンなど、いろいろなやり方があります。また、新商品が開発されたときやレジの機種が新しくなったときだけ研修が行われるケースもあります。
加盟店がスタッフを雇い入れる際は、本部からトレーニングに関する様々な支援を受けることができます。また、チェーンによっては勤務6か月後、1年後といった具合に定期的に研修の機会を設けているところもあります。自分できちんとスタッフを教育できるかどうか不安であれば、研修プログラムが充実しているかどうかをチェーン選びのポイントの1つに加えておくことが大切です。