フランチャイズ契約で起こりやすいトラブル!加盟前に確認しておこう
フランチャイズビジネス最大の魅力は、経営未経験者でも始められる点です。しかし、未経験者だからこそ陥るトラブルも数多くあります。そこであらかじめ知識として仕入れておいて、リスク対策をしておきましょう。今回の記事では、フランチャイズ契約で起こりやすいトラブルを加盟前後、契約中、契約終了後の3つの期間に分けて紹介します。
フランチャイズ加盟前後に起こり得るトラブル
フランチャイズ加盟前後に起こり得るトラブルは主に加盟金の返金トラブル、本部の説明不足、または執拗な勧誘の2つのケースが考えられます。
■加盟金の返金トラブル
フランチャイズ問題を担当している弁護士によると、相談内容で多いのは加盟金の返金です。契約したものの物件が見つからず店を開けないなどの問題から、加盟金の返金を求めるオーナーが多くいます。
しかしフランチャイズ契約において、加盟金はどのような場合においても返金されません。返金されるケースもあるようですが、基本的に加盟金は返金されないものだと考えておきましょう。
■本部の説明不足、または勧誘がしつこい
2つ目のトラブルは本部の説明不足、または勧誘がしつこい場合です。フランチャイズ展開は本部にとっても加盟店を増やし、ブランドの拡大につながるメリットがあります。しかし中には、加盟店募集を他社に業務委託している事業者や、不当な勧誘をする事業者もいるのです。
実際にこのような事業者と契約を結んだ後に聞いていなかった経費が発覚し、閉店に追い込まれた例があります。オーナーができる対策は、営業担当が本部所属の人物であるかの確認と、しつこい勧誘は避けることの2点です。
フランチャイズ契約中に起こり得るトラブル
フランチャイズ契約中に起こり得るトラブルは、売上が上がらない、運営の自由度がない、近隣に同業の店舗が出店したというケースです。
■売上が上がらない
フランチャイズ契約中にもっとも起こりやすいトラブルは、売上が上がらない点です。この問題には、2つの原因が考えられます。ひとつ目は開業当初はオーナー自身もノウハウを蓄積する準備期間であるため、すぐに売り上げにつながるわけではないことでしょう。多くの場合、契約時に本部から予想収益が提示されますが、あくまでも“目安”でしかありません。つまり本部とオーナーとの間に認識のズレが生じているのです。
2つ目は本部側に問題のある場合が考えられます。たとえば予想収益と実際の収益があまりにもかけ離れていれば、本部側の収益根拠が乏しい可能性があるのです。この場合オーナーは、本部に対して説明責任を怠ったという理由で、損害賠償を求められます。
■運営の自由度がない
次に運営の自由度の低さです。フランチャイズ展開している企業の多くは、ブランドの価値を維持するために、ノウハウを厳しくマニュアル化しています。規則を知らずにオーナー独自の判断で経営していると、本部とトラブルに発展するかもしれません。たとえばコンビニで賞味期限切れの商品を値下げしたところ、本部からクレームがきた例があります。そのためオーナーは加盟前の時点で、本部にどこまで従う必要があるのかをよく確認しておきましょう。
■近隣に同業の店舗が出店してきた
最後は近隣に同業の店舗が出店してきたケースです。この場合、売上が分散して収益が下がってしまいます。フランチャイズ契約では、このような問題を避けるために「テリトリー権」と呼ばれる一定の範囲の出店数に上限を設けています。オーナーは加盟時にテリトリー権の有無と、範囲はどこまであるのか確認しておきましょう。ただし、コンビニ業界においてはテリトリー権がないことが一般的です。
契約終了後に起こり得るトラブル
契約終了後にオーナーが同業の店を出店するケースです。フランチャイズ契約には、守秘義務と競業避止義務の2点が含まれています。守秘義務は企業の大切なノウハウを外部に漏らしてはならないという決まりで、競業避止義務はフランチャイズに加盟する際、フランチャイズ本部と同類または類似した業種を行ってはならないという決まりです。この決まりは契約終了後も一定期間行使されます。
しかし、オーナーの中には契約が切れたからと競業避止義務を忘れ、本部から教わったノウハウを元に新しくビジネスを始めてしまうことがあります。オーナーはどこまでが競業にあたるのかを本部と確認した上で、契約終了後にも本部から学んだノウハウには守秘義務があることを忘れないようにしましょう。
トラブルを防ぐために大切なのは、契約内容を本部に任せるのではなく自分でもよく確認しておくことと、なるべく複数の企業と比較検討することです。そして万が一トラブルに陥ったとしても、弁護士やフランチャイズ相談センターなどの専門窓口もあります。