フランチャイズにおける競業避止義務とは?トラブルを回避するには
フランチャイズに加盟して開業する際、覚えておかなければならないことに競業避止義務というものがあります。フランチャイズ本部と加盟店の間のトラブルには、この競業避止義務に関係したものが多くあります。ここでは独立開業前に知っておきたい、競業避止義務の内容と、トラブルを回避するために押さえておくべきポイントを解説しましょう。
競業避止義務とは
競業避止義務は“きょうぎょうひしぎむ”と読みます。従業員が勤務していた会社と同業種の会社に転職したり、起業したりして競合になることで、もともと在籍していた会社の利益を害することを禁ずるものです。企業は独自のノウハウや技術が流出すると、大きな損害を受けることがあります。競業避止義務はそうしたリスクを防ぎ、企業を守るための法律です。
フランチャイズに加盟して独立開業する場合、フランチャイズ本部と契約を結びます。その契約の中にも競業避止義務条項があります。内容は“加盟店は、フランチャイズとの契約が終了したあとも一定の期間、同一エリアで、同一事業を行ってはならない”といった内容です。フランチャイズに加盟すると運営に関するノウハウを教えてもらえたり経営のサポートを受けたりできる一方、高額なロイヤリティを毎月本部に支払わなければなりません。また、経営上の制約も多いことからフランチャイズを脱退したいと考えるオーナーもいます。
ただ、フランチャイズを脱退した後、フランチャイズの開業によって得たノウハウやそれまで使っていた設備を使ってそのまま事業を継続することは、競業避止義務条項で禁じられているためできないということになります。
競業避止義務で押さえておきたいポイント
フランチャイズ脱退後に競業避止義務違反によるトラブルにならないよう、チェックしておきたいのは期間の制限です。競業避止義務には一般的に半年~2年程度といった期限が設けられています。なかには2年以上の長い期間を設定しているケースもありますが、あまりにも長い期間が設定されていた場合は憲法の“職業選択の自由”に反するという理由で、制限の期間を回避して開業できることもあります。
また、競業を禁止するエリアが指定されている場合で、常識の範囲を超えた広い範囲で制限を設けているケースも同様に“職業選択の自由”の観点から回避できることもあるのです。企業によっては開業だけでなく、たとえば既存顧客や仕入れ先との取引について禁止していることがあります。もともと関係のあった顧客や取引先と、競合する事業で付き合うことは元の会社や本部の利益を害すると判断されることがあるため避けたほうがよいでしょう。
独立・開業する際のトラブルを回避するには
独立・開業したい、フランチャイズから脱退したいと考えている場合、無用なトラブルを避け、訴えられるリスクをなくすためにも契約書の競業避止義務条項をしっかりと確認して、競業避止義務に違反しないよう準備を進めましょう。もし競業避止義務条項に違反しているか分からないことがあった場合は、事前に相談をしておくことで開業後のトラブルを防ぐことができます。
これからフランチャイズに加盟を検討しているという方も、競業避止義務条項としてどのような内容が設定されているかはチェックしておくことをおすすめします。競業避止義務に詳しい弁護士に相談することで、細かい部分の法的なアドバイスを受けることもできるので、確実にトラブルなく進めたいという場合は弁護士への相談も検討するとよいでしょう。
競業避止義務は、フランチャイズに加盟するのであれば必ず理解しておくべき内容です。しっかりと知識を持っておくことでトラブルを回避できます。フランチャイズの加盟・脱退時はこちらで紹介した内容も参考に、しっかりと契約内容を確認するようにしてください。